背表紙が外れてしまった図鑑を修復しました。
背にはとても素敵な金箔押しの模様が入っています。
よーく見ると右隅に「ひすゐ」サイン。
この表紙デザインは杉浦非水です!これはぜひ保存したいです。しかし、残念ながら革が劣化していてこのまま表紙に戻しても本の開閉に耐えられそうにありません。
そこで背表紙の革は新たな山羊革に付け替えて、元の表紙は別途保存することにしました。
この本はのどに若草色と生成りのクロスが貼り合わさるように膠で接着してありました。その部分が外れて固く変色していたため、和紙と正麩糊で補修して表紙の革と同じのど革に替えました。
一折目と最後の折り丁も外れていたので、本体に細い糸で綴じつけます。
背表紙の裏側の紙をそっと剥し、革表紙にはクルーセル溶液を塗り、背革のパーツを慎重に和紙で固定して、版画を額装するように、中性紙マットに窓を開けて表紙装飾を見られるようにします。
本と背表紙を保存するフォルダを一緒にしまえるよう、シェルケースも作りました。
約85年、大切にされてきた本を次世代に伝える一助となれば嬉しいです。
『日本植物図鑑』
理学博士 牧野富太郎著
昭和5年8月15日9刷(1930年) (株)北隆社
装幀 杉浦非水
また、植物園には牧野富太郎記念館もあり、博士の愛蔵書や直筆原稿、植物画などからなる「牧野文庫」があるそうです。ぜひ一度行ってみたい場所の一つです。
この本の修復記録の公開をご快諾くださったご依頼主に感謝申し上げます。
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