2019年7月17日水曜日

内田嘉吉文庫の展示

日比谷図書文化館、4階にある特別研究室「内田嘉吉文庫」で私も修復を担当した本が
報告とともに展示されています。


今回担当した1冊、『父』は内田嘉吉氏のご子息、内田誠氏の著書でとても凝った特装本です。表紙は荒めのクロスに赤い漆研出塗り、本文紙も背表紙にあるイニシャルの花文字が漉き込まれた特漉きの局紙に印刷されています。何枚もの口絵や版画が本文に貼り込まれていたのが外れた折丁があり、表紙のみぞ部分も裂けていました。染めた和紙でみぞの裏側と表側から補修し、本文もかがり直しました。
破れていたみぞ部分

修復時に記録したウオーターマーク

保護ジャケットをつけてケースに収める

内田文庫の本は嬉しいことに、手に取ってみることが出来ます。ただ、それだけ活用されるということで、修復した本でも手当が必要になる場合もあります。補修の和紙が破れたとの連絡をいただき、再度和紙を貼り戻しました。また、漆塗りの平滑面に和紙がなじみにくいので、箱の出し入れの際に補修部分が引っかからないように、中性紙で保護ジャケットを作りました。これで表紙が擦れて傷むのを少し防げると思います。背部分にイニシャルを含む画像をデザインして、本棚に飾った場合にも違和感なくおさまるようにしました。他の本の補修でも細々できるだけ工夫しています。どうぞ研究室の展示でご覧ください。


100年後も手に取れる本に〜内田嘉吉文庫修復報告2019
2019716日(火)−930日(月)
2018年度、日比谷図書文化館特別研究室では内田嘉吉文庫所蔵資料計16点の修復を行いました。そこで、修復報告の一環として、修復を終えた資料とその作業記録を公開します。
今回は大型の洋書や和本、絵図など、修復した資料のジャンルがこれまで以上に多岐にわたっています。活用しながら保存するためにどのような修復が必要か、実物と修復作業の記録パネルでご覧ください。
日比谷図書文化館
4階 特別研究室

2019年6月26日水曜日

ペーストペーパー


今年も授賞式で作家に贈られるルリユールを制作しました。
山本周五郎賞『平場の月』の見返しのためにいくつか作ったペーストペーパー。
紙作りはとても楽しい工程、左から2番目のペーストペーパーを使っています。
三島由紀夫賞『いかれころ』は現在、ルリユールの制作中です。


2019年6月10日月曜日

私の道具箱:コビトKobito



小さな小刀と針のついた独特の道具。刃はカッターのように折るのではなく、研ぎだします。切る作業にはカッターやメスの方が使いやすいので、私はもっぱら削る作業に使っています。先端部分は印付けや、特に重宝しているのが、ソーブ・ギャルドを外す際に糸を外す作業。これにはコビトの先端の針がとても使いやすいので愛用しています。

2019年4月30日火曜日

インタビュー記事



「Takashimaya Salon」5月号『本が与えてくれるもの』特集に、インタビューが掲載されました。ルリユールの工程もぜひ紹介したいとのことで、「ルリユールのあゆみ」展に向けて制作中だった『地球はまあるい』の作業もちょっぴり掲載されています。

ガートルード・スタインが書いた『The World Is Round』(1937年)は3点の翻訳が出版されていますが、それぞれタイトルがちょっと違います。2017年刊は『世界はまるい』。2005年ポプラ社の『地球はまるい』は、取材にいらした編集者が担当されたご本だったのでびっくりしました。
私がつくっていたのは書肆山田版地球はまあるい』(1987年)。ガートルード・スタイン選集の一冊で、エッチングを入れた『やさしい釦』と同じ頃に制作していましたが、見返しと額縁装の中の絵を完成させないまま本棚で眠っていました。新たにペーストペーパーで見返しと、織りモザイクの表紙をつくり20年ぶりに完成しました。



2019年4月15日月曜日

ルリユールのあゆみ展会場

ルリユールのあゆみ展は昨日盛会のうち終わりました。短い期間にも関わらず、たくさんの皆様にご覧いただき本当にありがとうございました。
101点の様々なルリユール作品は、大まかに歴史的な製本の紹介から、倶楽部展順の作品や新作、そして様々な試みの現代製本へ、というコンセプトで配置していました。
あまりうまくとれていませんが会場風景です。


製本工芸小史のパネルと,歴史的な製本スタイルや和本、手前は豆本のケース
倶楽部展ごとの展示ケースと未綴じ本からつくられたルリユール
手前は「吾輩は猫である」展と「MUSUBU」展のケース 
上の写真の反対側 コンクールに出された作品や新作、豆本が並びます
 中野さんと私のルリユール3点 オープンジョイント製本と綴じつけ製本の作品

2019年3月13日水曜日

ルリユールのあゆみ展

東京製本倶楽部は今年の5月で20周年を迎えます。
3日間限定、記念の展覧会を日比谷図書文化館で開催します。
最新の現代ルリユール作品と、伝統的なスタイルをサンプルや図解とともにご紹介する予定です。私も最新作?を出品予定です。
うららかな春の季節、どうぞぜひ日比谷公園まで見にいらしてください。



東京製本倶楽部20年、ルリユールのあゆみ展
2019年4月12日(金)-14日(日) 10:00-17:00 (14日は15:00まで)
イベント◆期間限定『日比谷製本工房』 製本の様々なデモンストレーションを開催
4月12日 11:00-12:00, 14:00-15:00 (岡本幸治)
4月13日 11:00-12:00(藤井敬子), 14:00-15:00(近藤理恵)
4月14日 11:00-12:00(岡本幸治)

会場 日比谷図書文化館 1階特別展示室 
100-0012 東京都千代田区日比谷公園1-4

主催 東京製本倶楽部  http://bookbinding.jp

2019年2月27日水曜日

京都、春の講座


京都の4月からの講座のご案内です。

前回の模様紙はペーストペーパーの手法で作りました。今回はスタンプやステンシル技法でそれぞれのご本に合わせたオリジナルの模様紙を作ってみます。それらを表紙や見返し紙に活かして、本やノートをプラ・ラポルテ製本で作りましょう。

ルリユールの時間「模様紙とプラ・ラポルテの本」
4月27日-9月28日 第 4土曜日17:00-19:30
改装したい本(未とじや糸とじの本。厚さ:2cm、大きさ:A5サイズ以内)をお持ちください。

お問い合わせお申し込み先
NHK文化センター京都教室
京都市下京区四条通柳馬場西入立売中之町99
四条SETビル3F