2021年10月25日月曜日

タケット綴じの手帳


2022年の新しい手帳を作りました。
革紐でタケット綴じした一折の手帳で、京都の講座でも皆さんとともに作っています。
タケット綴じ(
tacketing)は、折丁の内側から皮革や糸などを使って表紙素材と接続する綴じ方です。革を細く切ったり、羊皮紙を細くコヨリ状にした紐で綴じたりします。
今回は、表紙革と紐は山羊革を、平表紙には和紙を染めた紙を貼っています。本文の内側から共革のステイと一緒に革紐を写真のように通し、背表紙に開けた穴から出して、表側で結ぶシンプルな綴じ方です。背の内側にはクロスを、見返しには薄手のプリント紙を貼っています。



2021年9月4日土曜日

秋からの講座「革で綴じる」

10月からの京都NHK講座は、革素材を使って制作いたします。

ルリユールの時間 「革で綴じる」
10月23日~2022年3月26日 第4土曜 16:00~18:30

タケット綴じで革製のノートと手帳を作ります。
お揃いの素材でニードルケースも作りましょう。

お問い合わせお申し込み先◆NHK文化センター京都教室
京都市下京区四条通柳馬場西入立売中之町99 四条SETビル3F

革装の本を作るときには、できるだけ傷などのない良いところを使って作ります。
一枚の仔牛革から本の表紙をとれるのは2、3冊くらいなので、ルリユールに使った残りの部分で、手帳を作ったり、半革の本やノートを作ったりしていました。
写真の右端の手帳は山羊革の2013年度版。
来年はどんな色の革の手帳になるでしょう。




2021年8月2日月曜日

プラ・ラポルテ製本のワークショップ 

うらわ美術館主催の「本のワークショップ」が開催されます。
今年は、2日間かけてお気に入りの一冊をゆっくり丁寧に仕上げていきます。


「文庫本でプラ・ラポルテ製本とソフトケース」

2021年9月18日(土)・19日(日)13:00~16:00受付 12:30~)

※2日間かけて仕上げる内容です。2日間参加可能な方が対象です。

大切にしたい文庫本をプラ・ラポルテ製本で装い、出来上がった本に合わせて保護カバーと箱型のソフトケースを作ります。元の文庫本にかかっているカバーも貼り込んで残しておけます。

会場■
さいたま市 浦和コミュニティセンター 第13集会室
(浦和パルコ・コムナーレ10階)さいたま市浦和区東高砂町11番1号
定員■20名(中学生以上)
材料費■1,500円 9月18日(土)に会場受付にてお支払いください。)
持ち物■文庫本(高さ160mm、厚み30mm以内)

申込み方法:8月20日(金)必着で、氏名(ふりがな)、電話番号を明記の上、往復はがきで「本のワークショップ係」宛、または「インターネット(さいたま市生涯学習情報システム)」でお申込みください。1人単位で受け付けます。(1枚の用紙で複数人数の申込みはできません。)
定員を超えた場合は抽選とし、結果は往復はがきでお申込みの方には返信用はがきで、インターネットでお申込みの方にはメールで、8月27日(金)までにお知らせいたします。

問い合わせ先■うらわ美術館
〒330-0062 さいたま市浦和区仲町2-5-1浦和センチュリーシティ3F
TEL 048-827-3215
FAX 048-834-4327

2021年7月31日土曜日

交差式製本のワークショップ

「交差式製本」のワークショップのご案内です。

同時期に開催中の内田嘉吉文庫の修復資料にも交差式製本で綴じた本があります。
今回は、背表紙に糸が見える様式でつくってみます。


「交差式製本」でノートをつくる

2021年9月11日(土曜日)14:00−17:00


「交差式製本」は1990年代イタリアの製本・修復家カルメンチョ・アレギ氏により考案された比較的新しい製本方法です。2枚の紙を交差するように組み合わせることで独特な表情が生まれる「交差式製本」は開きやすく、実用的です。今回の講座ではさまざまな用途に使えるノートをつくります。

定員:20名(事前申込順、定員に達し次第締切)中学生以上
参加費:2,000円(材料費込)

ウェブサイトのお申し込みフォーム、電話(03‐3502‐3340)いずれかにて、

①講座名(または講演会名)、②お名前(よみがな)、③電話番号をご連絡ください。

お問い合わせ:日比谷図書文化館 03-3502-3340(代表)

会場:日比谷図書文化館 4階スタジオプラス(小ホール)
千代田区立日比谷図書文化館
東京都千代田区日比谷公園1-4


2021年7月27日火曜日

特別研究室企画展示2021

特別研究室企画展示

100年後も手に取れる本に~内田嘉吉文庫修復報告2021~

2021年7月20日(火)-9月30日(木)

2020年度、日比谷図書文化館特別研究室は内田嘉吉文庫を中心に20点の所蔵資料の修復を行いました。
18世紀、19世紀の洋書や戦前期の雑誌、一枚絵(双六)、冊子など様々な種類の資料が安心して手に取れるよう修復されました。
その修復課程の記録を公開し、修復された資料を展示します。

日比谷図書文化館 4階 特別研究室
千代田区立日比谷図書文化館
東京都千代田区日比谷公園1-4


写真は今回、私が修復を担当した本です。『南洋視察復命書』と『通信事業五十年史』
どちらも修復後、本に合わせた色の紙でソフトケースを作りました。通信事業五十年史』のケースには本文サポートの台も着けています。
特別研究室の本は実際に活用されているのでどうしても傷みやすいというジレンマもあり、私も毎回試行錯誤を重ねています。修復された本たち、どうぞぜひご覧ください。



2021年7月11日日曜日

プライベートプレス



レイミアプレスのウェブサイトがオープンしました。

愛書家の江副氏が主宰するプライベートプレスの美しい本達をどうぞご覧ください。

私が手がけたルリユールも紹介されています。

写真のルリユールは、柄澤 齊著『黒富士』2016年の作品です。

レイミア プレス / LAMIA PRESS  https://lamia-press.com/  


2021年7月7日水曜日

日々を綴じる_6月



京都の
講座で皆さんとともに作っていた2作目。(2020年分も入れると3作目)

行けなかった展覧会の案内状を和紙でつないで作った折り本仕立て。リーフレットは折り畳んだり、大きさの違うカードも足の幅を変えてつないでいます。
交差式製本のように、表紙は2つを組み合わせてみました。
この製本の作り方は、うらわ美術館の「 Art into Life」のプロジェクト、「いまをとじる」で紹介されています。

2021年5月29日土曜日

日々を綴じる_4月

 


「日々を綴じる」と題して、エフェメラを一冊にまとめる講座の一作目が綴じ上がりました。
観に行けた展示のリーフレットや、その時々に作っていた作品の素材でのコラージュなど、さまざまな形態のものをまとめてあります。表紙はオリジナルペーストペーパー。
タイトルに入れた写真もちょっと凝って入れ子構造にしてみました。

さまざまな大きさの紙に描いたり、貼りこんだりした絵に和紙の足をつけて、
ひとまとめにしてから表紙と一緒に、絹糸を使って五つ目で綴じています。


 展示のチケットやチラシも折りたたんで綴じています。

2021年5月15日土曜日

アトリエの道具:大型の製本プレス

 


支柱に組み込まれた金具にハンドルを打ち付けて締め、大きな圧力をかけられるプレスです。
(たぶん2tプレスより大きいので、5tくらい?)
フランス語圏では「presse à percussion 」、英語ではなんと呼ぶのでしょう?
Webやカタログで調べたら、「standing press」「Large screw bookbinding press with tapping block」「Baling press/striking wheel press)などの名称が見られました。
20年以上前、ベルギーでシザイユとともに探してもらって輸入したもので、大きな作品も作るため、版面が50cm以上あるこのプレスがとても役立ってくれています。

ベルギーの倉庫にあった時のスナップ

2021年5月8日土曜日

私の道具箱:版木

 

版木用としてカットされている「朴ホオ」の板にマスキングテープを貼って使っています。

文庫サイズの本を作る時のプレス板として、2枚で挟んで固定する、紙などをそろえるコツの役割などいろいろ役立ってくれています。

マスキングテープを貼っておくと、接着剤がついてもすぐにとることができるのが便利です。「定規」の模様もあるので、張り替えてみました。
黄色の3Mのマスキングテープは接着剤が残りにくいので、作業中に紙や革に留めるのによく使っています。様々な色や模様のカラフルなマスキングテープもよく使うので、接着剤の経年劣化について気になっていました。以前、店頭にいらしたカモイテープの方に伺ったところ、接着剤よりもテープ基材の紙の方が劣化するので、目安としては2年くらいだろうとのことでした。
板はワークショップでもよく使うので、黄色のテープもぼちぼちとり変えているところです。

2021年4月3日土曜日

春の本


Web展示 「#本をつくろう_春」に、「いかれころ」を出品しました。

隅田川沿いの桜は満開を過ぎていましたが、フランス風のベンチの上でパチリ。
ちょうど一年前には「京都空想装幀室」展にこの作品を展示していましたが、W
ebでの展示では風景や他のものとのコラボレーションも可能です。



『いかれころ』三国美千子・著/新潮社 2019年6月刊

ルリユール仕様:綴じつけ製本 手染めクロスにゴム版 仔山羊革モザイクのタイトル
オリジナルペーストペーパーの見返し


2021年3月2日火曜日

日々を綴じる

春からの「ルリユールの時間」募集のご案内です。

2021年4月24日-2021年9月25日(第4土曜日16:00-18:30)

「日々を綴じる」と題して、エフェメラを綴じる手法を考えてみました。
季節のハガキや記念の写真など、みなさんの日々を本の形にします。
それぞれのコロナの時代を記録しておきましょう。

(ハガキや写真などをお持ちください)

お問い合わせお申し込み先
NHK文化センター京都教室
京都市下京区四条通柳馬場西入立売中之町99 四条SETビル3F
http://www.nhk-cul.co.jp/school/kyoto/


2020年の展覧会DMなどを「足」をつけて綴じた1点です。

2021年2月18日木曜日

小村雪岱の装幀展など




都内ではちょうど2カ所で小村雪岱の展覧会が開かれています。
日比谷図書文化館では、三冊の『日本橋』で表紙も見返しもみられる展示に始まり、新聞連載小説の実物や原画、多くの装幀本をたっぷり見られました。

2階フロアでは「装丁と挿絵を描いた日本画家」特別展関連図書展示もあり、私が以前に修復を担当した小村雪岱装幀の『内田嘉吉文庫稀覯書集覧』も入り口に展示されています。


複製芸術家 小村雪岱 ~装幀と挿絵に見る二つの精華~
2021年1月22日(金)~3月23日(火)
千代田区立日比谷図書文化館 1階 特別展示室


『内田嘉吉文庫稀覯書集覧』は、2014年に背表紙や本文の一部が外れていたのを修復。
常時使用されているので擦れたところもあり、和紙で少し補修もしました。


『小村雪岱』は雪岱の人物伝でもある読み応えのある一冊、20年前に作ったルリユール作品を撮影してみました。箱も解体して綴じ込んであります。


『小村雪岱』星川清司著 平凡社1996年
   東洋風製本 カーフ革・手彩色手織紙 1999年制作

2021年1月18日月曜日

#本をつくろう2021

2021年最初の作品は、web展覧会「#本をつくろう_歴史」のための一冊。
2020年夏に発行された限定版の「溝活版の流儀」未綴じ本からのルリユール。
旧作の活字をモチーフとした版画を、初めて銅版画プレスを使わずに刷った。
コロナ禍での版画の授業のために、東北芸工大のウェブでプレスを使わずに刷る方法が紹介されていたのを参考に、ハーネミューレ紙に刷った。
ゴム版も使って表紙をペーストペーパーと革で編む。見返しは和紙に彩色、ゴム版で作成。
活字のイメージから、角背にしたくて背表紙を後からつけるド・ラポルテ製本で仕上げる。

溝活版の流儀 アマチュア・プリンターの五十五年

著者名:横溝健志

発行:溝活版分室

発行年:2020


ド・ラポルテ製本 

素材:ハーネミューレ紙、和紙、仔牛革、山羊革 

size: 215×154×14mm 2021年



署名は活版で扉の裏に入れてもらった