2013年12月18日水曜日

手帳

























毎年、9月になると新しい手帳が店頭に並び始めます。私も10月~11月には新しい手帳を作ります。たいがいその時々に作っていた作品の革や紙を素材にして作っていましたが、やはり赤や黄色の山羊革(フランス製モロッコ革)は1年使っても擦り切れず美しい光沢を保っていました。
今年も山羊革でしたが、これはちょっと傷つきやすかったので、次回の参考にしよう。
























来年の手帳は白なめしの牛革を浅黄色に染めたものと楮和紙のペーストペーパー。
プリーツヒンジ入りの中綴じ仕様です。好きな色とともにすごしたいし、染色の堅牢度を一年使って試してみようとも思っています。
中は「無印」の手帳なのですけど、今年のものよりページ数が多く厚みがあります。


2013年11月25日月曜日

本の装い百年展




























「本の装い百年」展示が始まりました。
ルリユールの作品写真も入ったカタログ冊子も作りました。

2013年11月18日月曜日

本の補修
















リサイクル図書を補修。
貼られていたテープをはがし、背部分を和紙で作り直しました。
1970年発行、43年間みんなの愛読書だった痕跡があちこちにあります。

















本文のやぶれた紙の重なり部分に正麩糊をつけてぴったり合わせます。
製本をするために本を解体したときにも必ず本文の補修をしますが、作業はほぼ同じ。
材料もテープ類は使わず、楮和紙と正麩糊。
破れた本の修理にセロテープなどは使わないでください。短期間で変色しますし、それだけ接着力があるということですが、外すのにものすごく時間と労力が必要になります。
この絵本は中綴じで、糸が切れていたので本文を一旦外してかがり直しています。




2013年10月23日水曜日

『采花集』を出品します




























本の装い百年-近代日本文学にみる装幀表現
2013年11月22日(金)-1月19日(日)
平日830-2200土日は図書館に同じ。1126日、12月25~2014年1月8日は閉廊)
明治大学中央図書館ギャラリー(駿河台キャンパス・リバティタワー1F

明治大学和泉図書館所蔵「日本近代文学文庫」の装飾本、東京製本倶楽部の製本家22による現代ルリユール作品まで近代と現代の装幀表現のさまざまを展示します。

講演会 「近代日本の装幀表現-その変遷と魅力-」
12月7日(土)14:00~15:30  
講師:岩切信一郎(新渡戸文化短期大学教授)
会場:明治大学中央図書館多目的ホール(明治大学中央図書館地下1階)
入場無料(先着70名様)

主催 明治大学図書館 東京製本倶楽部
問い合わせ:明治大学中央図書館 
東京都千代田区神田駿河台1-1
TEL 03-3296-4245
明治大学図書館 http://www.lib.meiji.ac.jp/
東京製本倶楽部 http://bookbinding.jp

2013年9月12日木曜日

ハンガリーでの展覧会

ハンガリー、ブタペストでの展示が今日から始まります。
「The Word Was Sung」作品は2度目の渡航です。

"ÉNEKELT SZAVAK" Könyvkötőművészeti kiállítás 
”歌われた言葉”第1回国際製本展

作曲家ヴェルヨ・トルミシュの誕生80年を記念して2010年にエストニアにて開催された
第4回国際製本コンクール「Scripta Manent」の入選作品コレクション。
日本からは4名のアーティストも参加。
ハンガリー、エストニア、日本、スイスから、55点が出品されます。

2013年9月12日~12月8日
ハンガリー工芸美術館 1091 Budapest  Üllői út 33-37
主催: 在ハンガリーエストニア文化院
共催: 国際交流基金ブダペスト日本文化センター
http://www.japanalapitvany.hu/jp/moyoshimono/1atisutonomo/208

2013年9月8日日曜日

本の綴じ






















初版は昭和16年、再版の昭和19年発行の『采花集』をルリユールのために解体しました。
薄い芯板紙を和紙の表紙でくるんだくるみ製本で、経年変化で背が少し外れていました。
戦時中だったにもかかわらず、本文は地模様が印刷されたうえに活版印刷、表紙や見返しには木版多色刷り印刷が使われています。現代の感覚で考えるとものすごく贅沢な本作りです。
平紐で結わえる形のジャケットにも木版画が使われています。
装幀者は画家の中澤弘光。木版印刷は西村熊吉、製本は京都、眞英社と記されています。


綴じ方は、ミシンかがりも同じように2本の糸ですが、この本のかがりは機械ではなく手かがりです。目引きの状態や、綴じ糸の結び目も見えます。折丁の内側で2本の糸が交差し、背でリンクさせながらかがってあり、西洋の初期の冊子の綴じ方に似ています。
奥つけに小さなスタンプで3000部とありますが、この綴じを手作業でされていたとはすごいです!
和本から洋本にスタイルが変わっていっても、日本の古書の中にはさまざまなかたちで和本の遺伝子が残っているようです。
この本は、11月の展覧会に向けて制作進行中。




2013年8月28日水曜日

本と手帳

























10月からの京都NHK文化センターの講座は各自のお好きな一冊を改装します。

ルリユール入門 お気に入りをとじる「本と手帳」
20131026日(土)~2014322日 第4土曜日 17:00-19:45

お申し込みお問い合わせ先
NHK文化センター京都教室
京都市下京区四条通柳馬場西入立売中之町99 
四条SETビル3F
http://www.nhk-cul.co.jp/school/kyoto/


2013年6月23日日曜日

シェイクスピアを綴じる















Designer Bookbinders International Bookbinding Competition 2013
シェイクスピアをテーマとしたデザイナーブックバインダーズ主催の国際製本コンクールの展覧会がオックスフォードのボドリアン図書館で611日より始まりました。
この展覧会は、ヨーロッパ各都市を巡回して20149月に日本でも開催されます。

私は、小田島有志訳の『シェイクスピアのソネット』を製本した作品で、
Silver Prize(Distinguished Winners)を受賞しました。
下記サイトで受賞作品を見ることができます。















テキストとした『シェイクスピアのソネット』小田島有志・訳、山本容子・画 文芸春秋 1994年刊

2013年6月20日木曜日

和紙だより


季刊・和紙だより38号 
「多様な入り口が魅力のルリユール」の取材記事が掲載されました。

福井県和紙工業協同組合刊 20134月発行

2013年6月1日土曜日

本のワークショップ




















本のワークショップ お気に入りのアルバム
2013年7月6日(土)13:00-16:00
「ポケットアルバム」
写真やカードを貼ったり記録したり、いつも携帯できるアルバムを作りましょう。
紙を折って折丁を作り、しっかりした麻糸でかがる、くるみ製本の基礎講座でもあります。

2013年7月7日(日)13:00-16:00
「一折のアルバム」
デジタルになっても、写真はプリントして手元に持ちたいですね。
布装のソフトな表紙のアルバムを作りましょう。
背におしゃれな色糸を使って綴じる、一折中綴じのスタイルです。

会場 うらわ美術館視聴覚室
定員 各回中学生以上24名
参加費 1000円
持ち物 筆記用具、目打ち
申込方法 
6月14日(金)必着で、参加希望日、ワークショップ名、氏名、連絡先(住所、電話、ファックス)を明記の上、うらわ美術館までお申込みください。(一人一講座単位。定員を超えた場合は抽選とし、結果を当選者のみに6月21日までに連絡します。)

うらわ美術館
〒330-0062 さいたま市浦和区仲町2-5-1 浦和センチュリーシティ3F
TEL 048-827-3215 FAX 048-834-4327

2013年4月16日火曜日

旅する本 Cordel Chic


















Cordel Chic と題して世界中を巡回している展覧会が5月に開かれます。
エレーヌ・ジョリさんのプロジェクトです。http://cordel-chic.com/

私も木版画の入った一折のテクストから制作しました。プリーツとじです。
作品写真や以前の展示の様子をサイトで見ることができます。

2013年4月11日木曜日

2013年3月27日水曜日

繕う




















「くらし中心-繕う」10号 くらしの良品研究所発行
http://www.muji.net/lab/booklet/     ( PDFで見ることができます。)

「ルリユール もう一度つなぐ」 とても素敵なタイトルをつけていただきました。
「繕う」をテーマにした季刊誌に取材を受けた記事が掲載されています。
無印良品のお店でも配布されていますのでどうぞご覧ください。

2013年3月18日月曜日

ブラデル製本って?


ブラデル製本はみぞ付きの製本、「くるみ製本」と現代では理解されています。
でも、そのはじまりは「くるみ製本」のように本体と表紙を別々に作るのではなく違う作り方でした。

年末に、東京製本倶楽部の勉強会で制作した方法は、現代では「ルリユール・ブラデル」と呼ぶ形式で、1830年のフランスのマニュアルをもとにした仕様です。
特徴はホローバックで、表紙と本体を固定後に表装材でくるみます。
19世紀初頭のフランスでは、Reliureルリユールとはパッセカルトンされた綴じつけ製本をさし、それ以外のものをカルトナージュと表記、ブラデル製本(ルリユール・ブラデル)はカルトナージュ・ア・ラ・ブラデル cartonnage  à la bradel と呼ばれて流行しました。

名称は時代によリ少しずつ変化して、現在ではフランス語園ではcartonnage  Bradel/Bradel Emboîtage=case binding=くるみ製本 となっているようです。


まずは白紙から折丁を作ったり、仮綴じの本の糸を外し、折り直して本文を揃えます。
右側の仮綴じ本は今年の「製本はじめ」の原本です。




折丁を準備し、テープ綴じをします。






















背固め、丸みだし、背張りをした本の背に、羽をもった背幅用紙をつけます。(フォー・ド)

















みぞをあけて、表紙ボードを羽部分と接着して本体と合体させ、サイズを整え、折り返しができるように、背幅の端にスリットを入れて、補強の羊皮紙を背の上下と小口に貼ります。


表紙素材を貼って完成したブラデル・ルリユール



















2013年3月2日土曜日

4月期講座
















京都の4月期募集中です!
素敵な和紙やクロスを準備中、お楽しみに。

ルリユール入門 お気に入りをとじる

「和の製本」
20134月27日(土)~2013928日 第4土曜日 17:00-19:45
柔らかな和紙を本文紙にして、歌や文章、絵を描きやすい折本と綴葉装の画帳を作ります。
またこれらを保存する帙も作りましょう。

お申し込みお問い合わせ先
NHK文化センター京都教室
京都市下京区四条通柳馬場西入立売中之町99 四条SETビル3F

2013年2月25日月曜日

版画・図案・オブジェ展





















版画・図案・オブジェ

2013年3月9(土)日-5月19日(日)9:30-17:00
和歌山県立近代美術館
和歌山市吹上1-4-14
http://www.momaw.jp/

版画家たちの蔵書票や千代紙、ポスター、工芸家による版を用いた創作的な図案、
また多彩なアーティストが携わった挿画本や革装本、ブック・オブジェが展示されます。


2013年2月20日水曜日

新しい製本講座



4月から銀座で新しい講座を始めます!
お誘いあわせてどうぞご参加ください。
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美しい製本入門
藤井敬子のルリユールの時間
2013年4月3日~ 第1週水曜日 10:30~ 13:00
ルリユールの基礎的な技術を織り交ぜながら、手製本の基本を
学び活かしてさまざまな本をかたち作ります。


お申込みお問い合わせ先
銀座おとな塾
104-0061 東京都中央区銀座2-5-4ファサード銀座5階
03-5250-0719
ginza010719@sankeigakuen.co.jp
http://www.ginza010719.jp/

2013年2月7日木曜日

大学の制作展



ブックアートを教えている大学の制作展に参加します。

アートクリエイターコース レヴュー。
2013年2月13(水)‐17日(日)10-19時
名古屋芸術大学 アートクリエイターコース学生と教員展
名古屋市民ギャラリー矢田 第1、2、3展示室
http://www.galery-yada.jp/


KINO PRINT 2013

2013年2月26日(火)-3月3日(日)
京都精華大学 版画コース卒業生と教員による版画展
ギャラリーARTISLONG
京都市中京区三条通堀川西入る一筋目角

2013年1月4日金曜日

製本はじめ

真っ青な冬空がまぶしい朝です。
今年の最初の1点は、勉強会でのブラデル製本に加えて時間を見つけて作業していた本です。
まだ、タイトルがついていませんが、初期のフランス語マニュアルによるブラデル製本です。
みぞ付きのくるみ製本と見た目はほとんど同じなのですが、綴じつけ製本と同じように表紙と本体を接続してから表紙素材を貼る、ルリユールブラデルです。
背の天と地、四隅には羊皮紙を貼り、強度を持つようにするのですが、見た目もおしゃれです