2020年7月30日木曜日

本のパスポート 

森へのパスポート

#本をつくろうWeb展覧会に向けて「森へのパスポート」をつくりました。
ルリユール作品と同じ素材を使って、制作記録なども入れた小さな本です。

海外の展覧会などに出品した作品のための「パスポート」を個展の時によく作って展示していました。ルリユール作品は展示だけだったので、手で触れて素材や渡航記録、展示記録などをみてもらえるようにするためです。
 

左から、フランスのビエンナーレの本、リトアニアのフォーラムへの2点。
パリで開かれたAIRneuf「金と銀」展のためのパスポート。すべて


初めて制作したのはたぶん、左端の2000年の個展『旅する本』に出したルリユール作品「CYRANO DE BERGERAC」のためのパスポート。1999年4月26日に出国して、9月23日に帰国したと記録しています。フランスのビエンナーレでエドモンド・ロスタン賞をいただいた本です。この個展では海外に旅したルリユールを主に出品していました

 
2000年10月『旅する本』展  ガレリア・グラフィカbis


2020年7月14日火曜日

本を読んで、本をつくろう


  三島由紀夫賞候補の作品
山本周五郎賞候補の作品

毎年、6月は三島由紀夫賞、山本周五郎賞受賞作のルリユールをしていますが、今年は選考会が秋になったので、受賞候補作をStay Home中にゆっくり読んでいました。
それぞれの本のジャケットカバーはルリユールするときに綴じ込むので、一旦外して読んだりしています。
読書に没頭している時間を暫し過ごすと、私の場合は本をつくる時間です。
現在進行中は、フランス語の詩と版画の本。
そして、「#本をつくろう」プロジェクトのための、旅の本。
コロナの時期には海外にはなかなか行けそうにないけれど、読書で時間旅行、異文化旅行をするのもありかと思います。作品が出来上がったら写真をアップしようと思います。


2020年6月25日木曜日

いまをとじる


うらわ美術館の企画、Art into Life「いまをとじる」で「ハガキでルリユール」のテキストを作りました。美術館のウェブサイトからPDFをダウンロードできます。
そして、学芸員さん制作の動画が YouTube にアップされました。
どうぞみなさんも身近な素材でぜひ作ってみてください! 
#本をつくろう



2020年6月11日木曜日

カロリング製本モデル


8〜11世紀ごろの製本スタイル。「カロリング製本」は歴史・美術史でいうところのカロリング・ルネサンスとは違って、同じような製本構造を持つ本を表す用語です。
2013年、東京製本倶楽部の勉強会の歴史的製本モデル制作ワークショップで作ったものと、それ以前にシルマイ氏(J.A.Szirmai)の本を参考に試作してみたモデルです。
オーク材の表紙板に溝を彫り、麻紐の支持体を通してから本文をヘリンボンステッチで綴じます。また、表紙に支持体を通して花ぎれを編み、表紙(白鞣し革)を貼ってタブの縁を編むまで1日がかりの作業でした。




ザンクト・ガレン修道院にはこの製本構造を持つ多くの写本が残されているとのこと、ぜひ行ってみたい図書館の一つです。

2020年5月12日火曜日

私の道具箱:コンポスチュール


箔押し器
活字を込めてタイトルを手押しするための道具です。
いろいろなタイプがありますが、写真はずっしり重いイギリス製で上部に専用のネジを差し込んで、たわむ金属板で組んだ活字を固定するタイプです。


活字の高さに合わせて作られたフランス製のコンポスチュールも真鍮製で重いです。込め物もそれぞれに合わせて真鍮で作られています。(写真右)
それと同じタイプの日本製は小さく軽く、私が製本初心者の頃に買い求めた品です。支柱が曲がってしまったので、もっぱら私製葉書へpost cardスタンプを押すために使っていました。(写真左)
中央の日本製は片側がオープンな横のネジで締めるタイプで、活字の大きさは自由に組めます。軸木に彫られたミゾ部分が手の平に当たって痛かったので、白いモロッコ革の端切れでぐるっと巻いてあります。革のシボが滑らず手にしっくり馴染むので、このコンポスチュールを使うことが多いです。

2020年4月10日金曜日

京都の講座での作品

京都のNHK文化センターは全講座休講で、春の講座は延長されて6月から始まる予定です。

3月までの講座では、プラ・ラポルテ製本とド・ラポルテ製本で文庫本を改装しました。3冊目はどちらかお好きな製本スタイルでの制作が進んでいました。写真は、最終日にお持ちだった受講生の皆さまの作品です。制作中の方もいますし全員の作品を撮るチャンスが中々ないですね。背のクロスが平にも見えている8点が、ド・ラポルテ製本です。


2020年4月5日日曜日

京都の展示

二つの画廊で開催されていた「京都空想装幀室展」が終了いたしました。
新型コロナウィルス流行の大変な状況にもかかわらず、ご高覧くださいましたみなさま、企画、運営してくださった皆さまに感謝申し上げます。 ありがとうございました!



今回、京都に因んで作った新作は以下の文庫本でした


『若冲』澤田瞳子著 
プラ・ラポルテ製本、木版画、革、オリジナルペーストペーパー 
梅の花をモチーフにした版画といろいろな革を組み合わせ、織りモザイクの手法で表紙をつくっています。「プラ・ラポルテ製本」は背表紙を本体に先に接着してから、平表紙部分を後からとりつける技法です。タイトルを活字で入れたかったため、背と表紙に異素材を使えるこの製本方法を選んでいます。