模様紙を作って、フランス装に仕立てたノートと、文庫本の改装。2024年前半に京都の講座で作っていた作品です。
今年最後の製本作業は講座で皆さんと作っているライブラリースタイル製本の丸み出し。
背幅は17〜18mmなので、革の背幅も18mmくらいで大丈夫そうです。
ミゾ幅を空けて、スプリットボードも準備しました。
年明けからは革の準備などをしていきます。
今回の芳名録は近藤理恵さん作の2折中綴じのノートです。ご感想などメッセージをいただければとても嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします。
ポスターとバナーは渡辺和雄氏のデザインで、私はタイトルとキャプションを作りました。
1998年から2024年までに私たちが制作した、さまざまな製本スタイルの作品を展示しています。伝統的な綴じつけ製本も総革装、半革装などの違いがありますし、デザインや表紙装飾だけでなく、見返しの素材が革だったり布や紙だったり、仕立て方にはさまざまなバリエーションがあります。これらは私たちの所蔵本なので、展示のために眠っていた本を取り出すと、その本をどのような構造にするか、デザインは素材はどうしようかと考えていた遥かな日々を思い出します。
1999年9月、フランスの第5回バスク製本ビエンナーレ展に出品した作品は、『シラノ・ド・ベルジュラック』の初版から100年を記念して出版されたテキストを製本するコンペティションへの出品作。制作過程の写真は撮っていないので、キャプションには本文を撮影して載せています。
この頃は和紙の繊維を生かしてモザイク紙を作ることが多く、見返しにもシュミーズにもその手法を使っています。オレンジ色の山羊革は、パリのRelmaで、仔牛革は日本で入手した革です。
1999年のグランプリは坂井えりさんが受賞、私も賞をいただいたので、エドモンドロスタン美術館での授賞式に行きました。サンレミでは2年ごとにコンペティションが開かれていますが、私はこの回のみの参加でした。
ライトステッチ製本は2004年ごろに作った『A new introduction to Bibliography』が最初の試みでした。その当時は「表紙に綴じる」と記述していましたが、2006年の個展「本の記憶」で『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』(9月30日まで「ルリユールの日々」展に展示)作品をご覧になったコレクターの方の勧めで「ライトステッチ製本」と名付けました。
7日のワークショップで作っていたライトステッチ製本のノートには、オレンジ色の麻糸でステッチの装飾を入れてみました。
8日の製本用語集を綴じるワークショップでは時間内にデザインを工夫された方々も!
終了間際に4人の方に写真を撮らせてもらいました。お家でゆっくりデザインを考えて仕上げます、という方も多かったです。 皆さま、お疲れ様でした!
2024年10月26日-2025年3月22日 第4土曜日16:00−18:30
未綴じ本で出版された『製本用語集 改訂新版』を糸綴じして、半革装の「ライブラリースタイル製本」の技法で作成します。
また、来年の手帳もタケット綴じの技法で作りましょう。
お申し込みお問い合わせ先:NHK文化センター京都教室
京都市下京区四条通柳馬場西入立売中之町99 四条SETビル3F
075-254-8701
手漉き和紙の作家とのコラボレーションで、和紙と最小限の素材だけで制作した作品。
和紙の他には綴じ糸と箔押しフィルム、絵の具だけを使っています。
本文は手漉き和紙に言葉遊びを刷って折りたたんであります。
みみも残した柿渋紙と手彩色した楮和紙を組み合わせ、背に綴じ糸を見せないデザインです。
9月のうらわ美術館でのWSではシンプルな構造の交差式製本で『製本用語集』を綴じます。
#ルリユールの日々
#reliure
#bookbinding
#AtelierRiveGauche
#AtelierLeaves
「ルリユールの日々」では、いろいろな製本スタイルを並べようと考えたので、近藤さんの出品作と重複しない技法のものを選んで展示しています。イスラム製本もその一つ。
『村田エフェンディ滞土録』のルリユールは2017年11月中頃から12月初旬まで、比較的短い時間で仕上げていたようです。無線綴じの文庫本を解体して、糸綴じ出来るように和紙で繋いで折丁にしています。折丁になっていないと、はなぎれが編めないからで、折丁に麻糸で下綴じした糸をすくうようにして絹糸で編むのです。
この本を作る直前には、研究会で『LA SULTANE ROSE』の本をイスラム製本で作るWSを体験したので、その技法をそのまま活かしています。
以前のブログには、WSで作った本のはなぎれ編みの記事を載せています。
はなぎれはポイントになるところだけれど、仕上がりの本は表紙革で覆われていて見にくいかも知れず、こちらをご覧ください。
#イスラム製本
#ルリユールの日々
#reliure
#bookbinding
特別研究室企画展示
100年後も手に取れる本に ~内田嘉吉文庫修復報告2024~
2024年7月16日(火)-9月30日(月)
資料を「活用しながら保存する」が特徴である特別研究室では、2023年度、内田嘉吉文庫をはじめとする所蔵資料7点の修復を行いました。破れた折りたたみ地図の補修など一般的な修復の他、透明フィルムが剝がれかけた洋書の表紙の改装や合冊された明治期の雑誌の分冊化など書籍修復家による創意工夫を凝らした修復過程の記録を公開します。書籍修復家・近藤理恵氏が講師を務める東洋美術学校保存修復科の学生による修復本もあわせて展示します。
4階 特別研究室
日比谷図書文化館
東京都千代田区日比谷公園1-4
https://www.library.chiyoda.tokyo.jp/hibiya/
チラシの写真は、私が修復製本を担当し、展示中の"Im fernen Osten"
表紙に透明フィルムがピッタリ貼られていた資料でした。
三方マーブルの小口に合わせて、マーブル紙とクロスで表紙を作り直しています。
毎年開催されるうらわ美術館の「本のワークショップ」、今年は別会場で開かれます。
本のワークショップ
「ライトステッチ製本のノート」
2024年9月7日 13:00−16:00
ライトステッチ製本は、表紙素材に折丁※を糸で綴じる製本方法です。背表紙がダブルになるように仕立てるオリジナル製本です。本文の開きがよく、表紙素材も自由に選んでデザイン、装飾をすることができます。
材料費:1200円
「未綴じ本で交差式製本」
2024年9月8日 13:00−16:00
交差式製本は表紙素材の一部と本文を糸で綴じる製本方法です。本文の開きがよく、表紙の組み合わせを様々にデザインできることも魅力の1つです。本文には、折丁の状態で発行された未綴じの「製本用語集」(東京製本倶楽部2024年刊)を使用します。
材料費:2000円(未綴じ本代含)
▪️講師:藤井敬子
アシスタント:中野裕子(両日)、佐藤真紀(7日)、山下麻弥(8日)
▪️会場:浦和コミュニティセンター 第14集会室
さいたま市浦和区東高砂町11-1 コムナーレ10F
▪️定員:各日20名(中学生以上)
▪️申し込み方法:8月16日(金)(必着)で、下記の①~⑤を明記の上、往復ハガキで「本のワークショップ係」宛、またはインターネット(さいたま市生涯学習情報システム )でお申し込みください。
①参加希望の日程、②氏名(ふりがな)、③年齢、④住所、⑤電話番号
※1名単位で受付けます。(1枚のハガキで複数名の申し込みはできません。)
※定員を超えた場合は抽選とし、結果は、往復ハガキでお申し込みの方には返信用ハガキ、インターネットでお申し込みの方にはメールで8月26日(月)までにお知らせいたします。
▪️問い合わせ うらわ美術館 本のワークショップ係
さいたま市浦和区仲町2-5-1 浦和センチュリーシティ3F
TEL 048-827-3215
https://www.city.saitama.jp/urawa-art-museum/
東京製本倶楽部25周年記念出版として『製本用語集 改訂新版』が発行されました!
A5判 モノクロ、112ページ、未綴じ本とソフトカバーの製本版を制作しました。
販売の詳細は東京製本倶楽部のブログでご覧ください。
未綴じ本は7折の折丁に小口折り込みの表紙。(左)
製本版は、糸かがりのソフトカバー、開きやすく製本されています。(右)
未綴じ本の背表紙の幅には細めの麻糸でかがるとぴったり。
一番最初と最後のページに表紙の折り返しを挟み込んで、仮綴本ができました。
Books are Beautiful. 本は美しい、製本装丁の美と技術
16世紀の書物から現代ルリユールまで、様々な本の美をお愉しみください。
2024年5月3日(金)-5日(日)10:00-17:00
講師:藤井敬子
① 製本ワークショップ:5月3日(金)14:00-16:00
② 製本ワークショップ:5月5日(日)14:00-16:00
(各回定員先着20名、材料費1000円、要QRコードで事前申込み、小学生以下は保護者同伴)
▪️講演「本は美しい:西洋の書物の歩み」
講師:雪嶋宏一
5月4日(土)①11:00-12:00 ②14:00-15:00(参加自由)
▪️展示作品解説 10:00-17:00(随時)
会場:葉山町立図書館2階ホール
神奈川県三浦郡葉山町堀内1874
主催:フェスティナレンテ葉山
協力:東京製本倶楽部
Marché de la Reliure 2024
2024年3月31日(日) 11:00-15:15
会場:TIME SHARING
東京都港区新橋1-17-8 TKK新橋ビル7階
箔押しに使う色箔やコンポスチュール、フランスalivon社のフィレやパリ旅行の時にCALLIGRANEで購入した紙、端革などを出品予定です。
お時間がございましたらぜひお越しください!
日比谷でルリユール「装飾」展の会場もすぐ近く、あわせてどうぞお楽しみください。
#製本マルシェ
#東京製本倶楽部
#日比谷でルリユール
#TokyoBookbindingClub
2024年4月27日-年9月28日
第4土曜日16:00−18:30
ゴム版画やステンシルの技法などで模様紙を作りましょう。
それを表紙にしてフランス装のノートを作ります。
同じ手法でお気に入りの文庫本を改装します。
体験講座:ルリユールの時間「模様紙deフランス装」
2024年4月27日、5月25日、6月22日
ゴム版画やステンシルの技法などで模様紙を作りましょう。
それを表紙にしてフランス装のノートを作ります。
▪️お申し込みお問い合わせ先:NHK文化センター京都教室
京都市下京区四条通柳馬場西入立売中之町99 四条SETビル3F
075-254-8701
日比谷でルリユール「装飾」展がはじまりました。
出品した2点の一つは、2001年の旧作ですが、ヨーロッパ一千年の衣装の変遷をテーマにしたテキストをルリユール。綴じを見せるスタイルの製本です。
エッチングを刷り、彩色した和紙で手織り紙に仕立て、プリーツのデコールも加えています。
スリップケースもグラデーションに染めた和紙に表紙と同じエッチングを刷ってあります。ケースやジャケットは展示していません。
会場では同じタイトルの本は近くに展示してあるので、デザインのバリエーションもご覧いただけるのではと思います。図書館に所蔵のあるタイトルの本は、近くに展示されるので触れて読むこともできます。「眺める本」としてのルリユールの展覧会をどうぞご覧ください。
東京製本倶楽部25周年記念 日比谷でルリユール 装飾
2024年2月20日(火)-4月14日(日)
(3月18日月曜休館、月-金10:00−22:00、土-19:00まで、日祝日-17:00まで)
特別研究室企画「内田嘉吉文庫に見る民族衣装の世界 -19世紀・服飾による異文化との出会い-」に連動して、ファッション、インテリアからデザイン全般まで「装飾」をテーマにした、東京製本倶楽部会員によるルリユール作品を展示します。16世紀の古版本から現代のルリユールまで、多様な書物の装飾と製本スタイルをご覧ください。
関連講座:日比谷カレッジ
「内田嘉吉文庫の一冊:装訂に秘められた書物をめぐる物語」
2024年3月9日(土)14:00-15:30
講師:雪嶋宏一
要申し込み:詳細は日比谷図書文化館HPをご覧ください。
東京都千代田区日比谷公園1-4
主催:千代田区立日比谷図書文化館、東京製本倶楽部https://www.library.chiyoda.tokyo.jp/hibiya/
私はこの展示に新旧2点を出品いたします。
お近くにお越しの折にはぜひご覧ください。
新年おめでとうございます
希望に満ちた一年でありますようお祈りいたします。
皆様と本や美をめぐる豊かな時間を共にできれば幸いです。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
画像は「龍のひげ」と呼ばれる植物をモチーフにしたエッチング。
生家の玄関先にあって、青い実がつくのが不思議だったのを覚えています。
青を生かしたくて染めた和紙も版と一緒に刷ってラミネート。